こんにちは、大阪在住の写真家Yuto[X(旧Twitter) Instagram]です。
このページではカメラ初心者のうちに知っておいたほうが良かったことというのをまとめておきます。
僕自身は写真をはじめたのが2010年なので10年以上の写真歴があります。元々旅行好きで写真をはじめたのですが、比較的はじめたての頃に行ったイタリア旅行など今ならこう撮ったなぁなどと振り返ることも多いです。
撮り直したい理由は写真の腕の向上はもちろんですが、それよりも当時知らなかった写真を撮る時の知識が不足していたことにより、ちゃんと撮れていなかったことが大きいです。
すぐに本題に行きたい方は下のボタンをクリック(タップ)してください。
私のプリセットと著書、そして運営している教室です。
写真は一連の流れがあることを知る
1枚の写真を撮るためには一連の流れがあります。
例えば、料理は素材を選び、ちゃんとした工程、調味料をバランスよく使うことでおいしい一品ができあがります。
写真も同じでひとつひとつの工程をしっかり踏んでいくことで良い1枚が出来上がります。
その工程とは…
- 撮りたい写真をイメージする
- 撮る場所を選ぶ
- 撮影条件を選ぶ
- 構図を考える
- 白飛び・黒潰れをさせないように撮る
- 写真を編集してイメージに近づける
- 完成
これを1つの例に当てはめて具体的にしてみると…
- 雪景色を撮りたいな
- 雪が降りやすい場所の絶景ポイントを選ぶ
- 寒波が来て大雪が降った後に撮ろう
- 主題、副題、アクセントは何にしようか
- 雪は白くて明るいので雪が白飛びしない露出設定をする
- 明るさや色味の補正をして表現したいことを出す
- 完成
となります。
このように1枚の写真を仕上げるために、7つ程の工程を踏むことになります。
実は、全ての工程を完璧にこなさないとダメというわけではなく、思い通りにならなければリベンジをしたり代わりの案として別のものを撮ったりすることに切り替えて対処することもできます。
また、経験が浅いうちは偶然良い写真が撮れたということは少なくありません。
まずは色々なものを撮ってみて、その中で良いなって思ったものはどういう工程を歩んだかということをしっかり落とし込むことができればだんだん自分が撮りたい写真が撮れるようになってきます。
まずは道具 ズームレンズと単焦点レンズが1本ずつあると良い
撮りたい写真を撮るための道具を揃えよう
カメラを買う時によくあるズームレンズと単焦点レンズどっちを買えば良い問題。
写歴13年目にしてようやく一つの答えに辿り着きました。
風景を撮りたい場合はズームレンズ
人物や花を撮りたい場合は単焦点レンズ
僕自身は風景写真も撮りますし、スナップやポートレートも撮ります。
その時に気付いたのが撮りたいものによって適切なレンズタイプが違うということでした。
例えば
★風景はズームレンズのほうが構図を作り込める。
自分が動ける範囲だと限りがあるので、ズームレンズを使わないと撮れない構図というのが多々あります。
★ポートレートは単焦点レンズのほうが綺麗な画質で撮れる。
単焦点レンズは背景をボカし、メイン被写体の存在感を強めることができます。また人や花であれば自分が動くことで構図を追い込むことがしやすいです。
人によってどちらのタイプと相性が良いかがある
僕を含め、周りで写真を撮っている人を見るとズームレンズと相性が良い人、単焦点レンズと相性が良い人がいることがわかりました。
ちなみに僕はどちらかというとズームレンズと相性が良いタイプです。
これは実際に撮ってみないとわからないので、最初は自分が撮りたい写真をイメージしてみましょう。
バッキバキに解像する写真、旅行で使いたい→ズームレンズ
背景がトロトロにボケる写真、ゆるふわ写真→単焦点レンズ
こんな感じで良いと思います。
また、経験を積むことで苦手なタイプも使えるようになってきます。
僕自身は昔50mm単焦点レンズが大の苦手でしたが、使っていくうちに50mm単焦点レンズと相性が良い被写体、状況というのがわかってきました。
理想はズームレンズと単焦点レンズを1本ずつは持つこと
結局たどりつくところはズームレンズと単焦点レンズの両方を持ち合わせることです。
個人的には標準域(フルサイズ換算:24-70mm)をカバーしているズームレンズと、35mm〜85mmぐらいの画角域の単焦点レンズを1本ずつぐらい持っていると比較的どのような状況でも撮影ができるかなと感じています。
普段よく使う機材を別記事にてまとめているので、こちらもご覧ください。
撮影条件を考えよう
「絶景スポットで構図と露出さえ整っていて編集さえすればどんな写真でも綺麗に仕上げられる」そう思っていた時期が私にもありました。
これは結構陥りやすいトラップです。
ある程度、写真の基本的なことがわかってきた状態、もしくは初心者だけど物事をよく調べてある程度の知識は持っている状態の時に起こりがちです。
冒頭でも紹介しましたが、写真を撮る時に7つの工程が存在します。
- 撮りたい写真をイメージする
- 撮る場所を選ぶ
- 撮影条件を選ぶ
- 構図を考える
- 白飛び・黒潰れをさせないように撮る
- 写真を編集してイメージに近づける
- 完成
これらのこと踏まえると正解はこちら
特に編集のやり方さえ知っていればOKというのはかつての僕も含め、多くの人が勘違いした事柄ではないかと思います。
もう少し突っ込むと編集で構図や露出オーバーによる白飛びをどうにかすることは難しいから構図だけは整えておこうみたいな。
これだと思ったような写真が撮れなくて仕上がりも満足いく結果になりません。
もちろん構図も露出も編集も大事ですが、それに加えて撮影条件というものが大事になってきます。
わかりやすい例でいえば青と緑が爽やかなThe 南国の風景を撮りたい時は晴れの日に撮れるということです。
これが曇りだと被写体の色のコントラストははっきりしないフラットな写真になってしまいます。
というように撮りたいイメージや撮る被写体に応じて撮影条件は様々あるわけです。
どの被写体がどの撮影条件でどんなイメージになるのかは無限通り存在しそうなので割愛するとして
写真を始めたての人にまず撮ってほしい撮影条件というのが下記のシチュエーション。
晴れた日のマジックアワーの時間帯
マジックアワーはとにかく世界が幻想的になる時間です。
朝焼けや夕焼けなどもこの時間帯。映画もこの時間帯に撮影されたシーンが多いです。
被写体や自分が表現したいものによって適切な天気、時間帯が変わってくるので、どんな写真が撮りたいのかしっかりイメージしてから撮ることがポイントです。
覚えておきたい3つの基本構図と脱素人っぽい構図
構図がおかしいと撮影条件や露出、編集がいくら良くても間の抜けた写真になってしまいます。
逆に構図が良いと他が甘くても良い写真に見えたりします。
そして写真教室をやっていると多くの人が壁にぶち当たってしまうのが構図の作り方です。
ここでは構図を作るうえでポイントになる点と初心者だからこそ覚えておきたい基本の構図パターンをまとめました。
まずは水平を意識する
脱素人っぽさということで最初に意識するべくは「水平」をしっかりとれるようになることです。
近年はナナメ構図の写真も増えましたが、水平をとれる中であえて水平を崩していることと、水平がとれないからナナメにしているのでは雲泥の差が出ます。
カメラを地面に対して平行にすることで水平をとれるようになります。
水平を撮れるコツは…
- 海があれば水平線が良い基準線となる
- 建物など水平垂直でなければならないものを基準にして構図を作る
- カメラの水準器を使う
最近のカメラはほとんど水準器がついているので、それを参考に水平をとるようにすることで問題ありません。
気をつけたいのは広角レンズを使うと画面の端っこは歪むのでキチンと水平が取れているのかわかりにくいことです。
この場合はカメラの水準器を使うか、水平線のようなものを画面の真ん中に持ってくることで水平かどうかがわかるようになります。
「写真を水平に合わせて撮れる」これだけでも他人から上手いと言われるようになります。
①日の丸構図
メインとなる被写体を真ん中に置く構図です。
見せたいものがストレートに伝わってくるので、インパクトが強い写真になります。
次に紹介する三分割構図と並んでよく使う構図の1つです。
②三分割構図
画面をグリッドのように三分割し、そのグリッドの上に被写体を置いたり、地面と空を分割したり、エリアごとに被写体を置いたりできます。
地面と空の境界線をどこに持ってこようかとか、色々なものが写り込み情報量が多い空間を切り取る時などに役立つ構図です。
僕は日の丸構図と並んでよく使う構図パターンの1つです。
③二分割構図
三分割構図は画面を縦横3つずつでわけていましたが、こちらは2つずつにしたものです。
画面の半分ずつで違う要素になっていたり左右対称などになっていることが象徴的で、視覚的なインパクトが強くなります。
複数の構図パターンを組み合わせる
例えば、メインの被写体を真ん中においた上で背景を三分割構図でうまくまとめることで、メイン被写体とそれ以外の背景や余白のバランスが非常によくなります。
他には三分割構図のグリッド上にメイン被写体を置きつつも、画面の中央で二分割するような構図にすることで、二分割のインパクトを持たせながらメイン被写体もバランス良く配置することができます。
このように複数の構図パターンを組み合わせることで、より複雑な状況でもうまく構図をまとめることができます。
四隅も意識できたら最強
構図作りに慣れてきたら次は四隅をどうするかです。
例えばメイン被写体はうまく配置できたが、画面端っこに余計なものが写り込んでしまっているとか、謎の余白があったりっするとかです。
大まかな構図を決めたら
- 余計なものが写り込んでいないか
- 変な余白になっていないか
この2つに着目して四隅を確認してみてください。
型にハメられすぎにも注意して
構図は様々なアプローチ方法があります。
気をつけたいのは構図に関する知識をつけすぎたゆえに、ガチガチに型にハマって結局撮りたいものが撮れなかったり、逆にいまいちな構図になってしまっていることがあることが結構みられます。
実際、写真教室で提出された写真でも構図の決め方に従いすぎた結果、自分が表現したいものを見失ってしまった、あるいは他の悪い要素が入り込んできてしまったということも少なくありません。
実は自分の直感というものは想像以上に正しかったりします。構図の法則から逸脱しているなと思っても、自分が良いと思った構図で素直に切り取ることは大切なことだったりします。
Mモードを使えるようにしよう
使いこなせば「ブレ、白飛び、黒潰れ」いわゆる失敗写真とはおさらば。
写真を撮る時にどのモードで撮ろうというのがありますよね。
代表的なものはオート、プログラムオート、絞り優先、シャッタースピード優先、マニュアルですが、カメラによっては夜景モードやポートレートモードなんてものも存在します。
しかしながら初心者あるあるだと思いますが、夜景を夜景モードで撮ったところで結局ブレブレ写真が量産されてしまいます。
そうして「高いカメラ買っても撮れない!」となってカメラを置いてしまう人もそこそこいるわけですね。
この原因はどういう理屈で写真が撮れているかをまだ知らないから起こってしまうのです。
夜景の場合は暗いところを明るく写すためにシャッタースピードを長くしているのです。それも三脚を使っている前提レベルでシャッターを長くしてくるので手持ちだとまず撮れません。
このあたりはスマホのほうがよりユーザーに寄り添った設定で撮影してくれますね…。
あれ!?じゃあスマホのほうが優秀じゃないの?と思われるかもしれませんが、設定値を変えるところがカメラと違うだけで、カメラのほうが撮れる写真はやっぱり綺麗です。
はい、長くなってきましたがここからはさっきの夜景ブレブレ写真を起こさないようにするための知識を記述していきます。
本当にこれだけ知っていればブレを抑える方法もわかりますし、今のテーマである「M(マニュアル)モードで撮る」ことができるようになります。
さらに、写真の明るさのコントロールはもちろん、被写体のボケやブレを自由に扱えるようになります。
「えっ!!!???そんな難しそうなのできるわけない!」
って思うかもしれませんが、これから紹介するたった3つの要素を覚えてもらえれば大丈夫です。
たった3つの要素「シャッタースピード(SS)・絞り(F値)・ISO感度」を知ろう
シャッタースピード・絞り・ISO感度を覚えることで以下のようなことができるようになります。
- 写真の明るさをコントロールできる
- ボケ感を調整できる
- 被写体をブラすかブラさないか選べる
平たく言うと撮影が自由自在になります。
カメラでも明るさ調整はできるのですが、カメラが適正と思う明るさと我々が適正と思う明るさは実は違います。
我々には感情があるから表現したいものによって適正な明るさは変わるのです。
例えば、同じ場所を撮ったとしても爽やかにしたい場合は「明るく」哀愁感ただよう感じにしたい場合は「暗く」するなど、同じ場所で撮ったとしても、どういう状況にしたいかによって明るさが変わります。
これは自分とカメラの考え方の違いを設定を変えて埋め合わせてあげることで、自分が思ったような明るさにコントロールしていくのです。
と、いうようなことが全部できてしまうのがマニュアルモード。
話だけ聞いていると難しく感じるので、実際にカメラを持って試し撮りするほうがわかりやすいでしょう。
どこ行けばいいの!?って方は大阪の写真スポットをまとめた記事があるので、そちらをご参考ください。
「シャッタースピード、絞り、ISO感度」明るさ相関関係
一番ややこしいのはシャッタースピード・絞り・ISO感度の明るさの相関関係ですが、一番はじめに覚えたい要素でもあります。
画像でまとめるほうがわかりやすいので、以下にまとめました。
シャッタースピード
絞り
ISO感度
明るい写真を撮りたい場合は、これら3つの設定を明るくなるようにしていけばOKです。
例えばシャッタースピード10秒、絞り1.4、ISO3200だったら明るい写真が撮れます。
ちょっと明るくなりすぎだなーと思ったらシャッタースピード10秒、絞り1.4、ISO100という感じで、暗くなる要素も入れつつ設定を合わせていきます。
ISOを3200→100にしたことでそのぶん写真が暗くなり、明るすぎた写真が良い具合の明るさになるというわけですね。
このようにシャッタースピードと絞りとISO感度を組み合わせることで自由自在に写真の明るさをコントロールできます。
「シャッタースピード、絞り、ISO感度」それぞれの特性
明るさの相関関係がわかったので、次はシャッタースピード、絞り、ISO感度それぞれの特性を解説します。
シャッタースピード
シャッタースピードは被写体をしっかり止めたいか、あえてブラすことで動きを表現するかを選択します。
絞り
絞りは手前から奥までしっかりピントを合わせて画面全体をはっきり見せたいか、主題となる被写体以外をボカして主題の存在感をしっかり出すかで選択します。
絞りすぎる(主にF16以上)と回折現象といい被写体の輪郭がにじんで画質低下する現象が起きることがあります。
ISO感度
ISO感度は極力上げたくありません。シャッタースピードや絞りを暗めの設定にしておきたい時に上げる、またはシャッタースピードや絞りで明るさを稼いでもまだ足りないという時に上げます。
基本的には100か200などカメラによって設定できる最小の数字にしておくことがベターです。*拡張ISOは原則使わない
写真編集の基本を知ろう
いよいよ写真を仕上げる最終ステップです。写真編集といっていますが、現像やレタッチのことです。
明るさ補正や色補正、写真加工などもここに含まれます。
基本的にはソフトを使って行います。僕はAdobe Lightroom ClassicとAdobe Photoshop CCいうソフトを使っています。
2022年10月31日に「バズる!写真編集術」という書籍を玄光社より出版しました!
Adobe Lightroom Classicを使った写真編集のテクニック本です。
写真編集テクニック本らしく現像工程の紹介や小技などはもちろん載せています。
注目してほしいのはどうしてその工程にしたのかという考え方なども記載しているところです。
また、その仕上げにするための現像工程とともに現像を前提とした撮影や条件、機材などの話なども載せています。
29枚の作例を用いてこのような図解も入れて解説しているので、ぜひ参考にしていただければと思います。
ヒストグラムとはなんぞや
もしかすると皆さんの中にはすでにこの画像のような波形を見たことがあるかもしれません。
これはヒストグラムといって写真の明るさをグラフにしたものです。
これは赤い傘の人が写っている写真のヒストグラムですね。
まずはこれだけ覚えよう
ヒストグラムの左端に波形がくっついていると黒潰れ
ヒストグラムの右端に波形がくっついていると白飛び
ヒストグラムは左右両端のどちらかに波形がくっついていないか確認ができたらとりあえずは良いかなという感じです。
せっかくなのでもう少し解説をします。
左側ほど暗く、右側に行くにつれて明るくなります。波形の高さはその明るさの量です。
この場合、左側に高い波形が偏っているので暗めの写真だということがわかります。
もうちょっとわかりやすく分割してみました。
1枚の写真が大勢の人で作られていると仮定して、その人たちの明るさをとても暗い、暗い、明るい、とても明るいの4段階にわけてその明るさには何人いるのかという感じになります。
実際のヒストグラムはこれが255段階にわかれていてそれぞれにどれだけの量があるのかということを示しているのがヒストグラムです。
赤い傘の写真は写真の左側がかなり暗いのでヒストグラム左側の暗い部分の波が高くなります。
一方で左側は少し明るめの部分もあるので、明るい部分の波も少しだけあるという感じです。
また、写真の左側にある建物の入り口部分は黒潰れしており、ヒストグラムも左端は少し波形がくっついています。
一方で白飛びしている場所はないのでヒストグラムの右端には波形がくっついていません。
写真編集ソフトがあることを知る
写真を編集するソフトはいくつもありますが、その中でもオススメなものを2つ紹介します。
どちらも比較的安価でありながら、細かいことができる他、ユーザーが多いため情報が多く出回っていることがオススメの理由です。
Adobe Lightroom Classic 月額料金型 大量の写真管理と本格的な編集ができる
月額980円でAdobe Lightroom ClassicとAdobe Photoshop CCが使えるようになります。
Photoshopというのは写真をやらない人でも聞いたことがあるのではないでしょうか?全世界のクリエイターが使っているといっても過言ではないあの画像編集ソフトです。夢が広がりますね!
話が逸れたので戻しますとLightroom Classicはプロもアマチュアもよく使っているソフトで全世界で最も使われているソフトでしょう。
Luminar Neo 買い切り型 本格的な写真編集だけでなく空の合成など遊び要素満載
Skylum社が出しているLuminarはLightroom Classicとほぼ同等の機能を有します。
月額制は抵抗あるなぁという人や、写真編集はあまりしないというライトユーザーの人でも買い切り型のLuminarは求めやすいかなと思います。
LuminarはLightroom Classicに比べるとユーザーも少ないため情報も少なくなるのですが、Lightroom Classicと言葉のニュアンスがちょっと違うところはあるものの、似たような効果を持つ補正項目が多いので、Lightroom Classicで使われるテクニックがそのままLuminarでも使えたりします。
編集を自由にするためRAWで撮ろう JPGとの違いも解説
カメラにファイル形式を選択する項目があります。
メーカーによって多少違いはあるものの、だいたいは「JPG(FINE,BASIC,LOW)」「RAW」になっているかと思います。
それをRAWにすることで写真編集時に大きな助けとなります。
特に撮影に失敗してしまう確率が高くなる初心者の人ほどRAW撮影はオススメです。
RAWデータを読み込むには現像ソフトが必要になりますが、ソフトは持っていないからいいやと思う人でも「RAW + JPG」で保存しておくと現像ソフトを手に入れた時に救われるかもしれません。
この人めっちゃRAW撮影を推してくるなと思うかもしれませんが、それはJPGとRAWが根本的に違うものだからです。
簡単に両者の違いをまとめると
JPG→撮影直後にカメラが明るさや色味を決めて完成品として出力
RAW→編集を前提としてカメラが取り込んだ色情報データを素材として出力
ちょっと何言ってるかわからないと思うかもしれないので、さらに細かいところを比較していきましょう。
RAW | JPG | |
ファイルサイズ | 大きい | 小さい |
現像ソフト | 必要 | 不要 |
Bit数 | 12, 14bit | 8bit |
階調 | 4096~16384 | 256 |
現像・レタッチ耐性 | 強い | 弱い |
画像劣化 | ほぼなし | 上書き保存毎に劣化 |
ホワイトバランス | 撮影後に変更可 | 撮影時に確定 |
SNSへのアップロードやプリント | JPGやTIFFに書き出す必要有 | そのままアップロード可 |
基本的にはRAWのほうが強そうなことが書いてあります。数字も大きいし。大きいは強い。
ちょっと何言ってるかわからないとか言われそうなので
もう少しだけ具体的に見ていきます。
画像劣化ほぼなし
RAWは撮影した色情報データをそのまま残しているので、画像劣化はほとんど起こりません。
対してJPGは色情報を画像データに変換したうえで圧縮して保存をしているので、画像劣化が起こってしまいます。
現像・レタッチ幅が大きい
RAWは現像・レタッチでできることがJPGよりも幅広くなります。
具体的には明るさ補正や色味の変更に対して圧倒的な違いがあります。
実際に比較して試してみましょう。
全体で見るとRAW現像で明るくした写真は、撮った時の色を比較的忠実に再現した状態で明るくなってきます。
一方でJPGに一度変換して明るくした写真は青みがかった上でぼやっとした感じで明るくなってきました。
一部を拡大して比較すると、RAWのほうがJPGよりはっきりしたディテールと被写体の色味を保持したまま明るくなっていることが確認できます。
またRAWはJPGでは補正しきれない白飛びや黒潰れも復活させることができます。
色情報データとして残っていればそのデータをもとに階調表現できるからです。
とはいえ、極端な白飛びや黒潰れはRAWデータでも復活させることはできないのでヒストグラムで確認するようにしましょう。
ホワイトバランスを後から変更できる
RAWはクリア感を保ったまま黄色く変化しましたが、JPGはさきほどの青色に対して黄色を追加して緑色になってしまいました。
まだ素材としてのRAWは色味の変更も自由に可能ですが、完成品としてのJPGは無理矢理色を継ぎ足すのでこのような結果となります。
夜景などは現場でのホワイトバランスの調整が難しかったりするのですが、RAWデータで撮影することで撮影現場ではホワイトバランスを気にしなくて良くなるなどRAW撮影ならではのメリットとなります。
現像やレタッチに関しては別記事でまとめている他、著書としても出版しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
誰かと交流しよう
上達への近道は他人とのコミュニケーションにあり
写真に関連する知識は色々とついたけど、果たして自分の写真が正解なのかわからないという方は多いはずです。
写真の厄介なところは数学と違って「はっきりした正解がない」ことなんですよね。
でも限りなく正解に近づけられるものというものはたしかに存在していて、それは「誰かに写真を見てもらう」ことといえます。
誰かに写真を見てもらったうえで、その人がどのように感じたのか?その答えを聞くことで、自分の写真が客観的に見た時にどのような評価になるのかということがわかります。
もちろん「自分が好きだからこれでOK」というのは正解の1つです。
ただ他人から褒めてもらった時の嬉しさ、あるいは自分が撮った人から褒められた時の嬉しさというものは何にも変え難いものがあります。
そのために他の人とコミュニケーションをとり、自分の写真を評価してもらうということはとても大事なことの1つといえるでしょう。
また、誰かと話すことで、自分が撮りたい写真のアプローチ方法がわかったり、次に撮りたい写真が見つかったりすることがあります。
わかりやすい例だと、写真スポットを教えてもらったりすることは他人とのコミニュケーションの1つですよね。
さらにその延長として誰かと一緒に撮りに行くなどといったことも良い刺激になるでしょう。
コミュニケーションを取る方法
SNS
今はTwitterやInstagramなどSNSがあるので比較的簡単に誰かとコミュニケーションを取ることができるようになりました。
SNSを通じて仲良くなり、DMだけのやりとりから始まり、一緒に撮影へ行く、さらには恋人として交際したり結婚までいくという人も少なくありません。
SNSなしでは出会わなかったであろう人々と手軽に出会える世の中になりました。
最初は画面の向こう側でやりとりしているだけですが、その向こうにいるのは1人の人なのでリアルでのコミニュケーションと同じように失礼のないように仲良くなりたいですね。
LINEオープンチャット
SNSの一種ですが、ラインオープンチャットというものがあります。
例えば写真好きが数百人集まっているライングループのようなものです。
普通のライングループと違うのは、グループチャットごとによってプロフィールを設定できることと、グループチャット内から個別に連絡を取ったり友達追加ができないことです。
ライングループだと個別に連絡が取れたりするので、トラブルになる確率は高いですが、こちらはトラブルになりそうになったらすぐに脱会することもできます。
LINE IDや名前を変えることで匿名状態になれることも良いですね。
ただし、匿名状態になることのデメリットもあり、やはりマナーの悪い人や荒らしが一定数いるのもたしかです。
とはいってもLINEというよく使う連絡ツールで気軽にやりとりできる仲間がいるというのも良いですよね。
オフ会・撮影会・写真教室
SNSなどでできた仲良しグループで実際に会って撮影に行くオフ会や、各地方に存在するポートレート撮影会のイベント、写真の撮り方を指導してもらえる写真教室に参加することで他人と繋がる方法があります。
やはり直接対面した時の親密度の上がり方は、スマホでのやりとりとはレベルが違います。
撮影会や写真教室は有料であることがほとんどですが、有料である分、意欲の高い人が多く、自分のモチベーションのアップや上達に繋がることも多いです。
撮影会にはモデルがいて撮れることと、写真教室では指導してくれる講師がいることがあります。教室によってはポートレートモデルを撮るという内容のものもあります。
僕も大阪メインで写真教室を開催している時があるので、興味のある方は詳細をチェックしてみてください。
オンラインサロン
サロンというのは元々貴族の交流会というものが起源でした。
2020年ごろよりZoomなどオンラインツールが広く普及した結果流行り出したのがオンラインサロンです。
サロンのテーマはビジネスから趣味まで様々なものがありますが、写真撮影というのもテーマとしてあり、オンラインサロンもいくつか存在します。
サロン内では主催やゲストが講義をしたり、オフ会を開催したり、メンバー同士でも講義やオフ会を開いたりすることもあります。
ほとんどのオンラインサロンは有料ですが、その分意欲の高い人やクオリティの高い発信をしていることが多いです。
同じグループに所属しているということで信頼感や一体感というものも強くなり、写真撮影がより一層充実したものになります。
僕自身も2020年12月からオンラインサロンを運営しています。
写真撮影のお供にしたいという方はぜひ詳細をチェックしてみてください。
オンラインサロンを活用するコツ
オンラインサロンに入ったら発言は積極的にするほうが良い!
オンラインサロンを主催している者としても、オンラインサロンに所属している者としても共通して感じることです。
写真のオンラインサロンにもその他のオンラインサロンにも在籍したことがありますが、積極的に発言したりオフ会に参加するほうが同じ月額を払っていても充実度は変わります。
見ているだけだとなかなか価値を感じられにくいというのがオンラインサロンの特徴といえます。
まとめ
かなり長くなりましたが、とにかく冒頭で紹介した1枚の写真ができあがるまでの流れを基準に考えてもらえれば良いです。
- 撮りたい写真をイメージする
- 撮る場所を選ぶ
- 撮影条件を選ぶ
- 構図を考える
- 白飛び・黒潰れをさせないように撮る
- 写真を編集してイメージに近づける
- 完成
それぞれの項目について細かい内容を記載したのが今回の記事です。
ところで、この記事をここまでまとめたのはイタリアのヴェネチアで撮ったこの写真がきっかけです。
写真をはじめて2年目ぐらいで行った海外旅行で撮った写真。これ以降2023年2月に至るまで海外は行ってないのですが、それゆえに貴重な1枚だったなということです。
この写真により僕は多くのことに気付きました。
- 早朝は良い写真が撮りやすい
- RAWにしておいたら現像で仕上げを追い込めた(2013年ごろ気付いた)
- 白飛びしたところの階調は戻せない
- 次回は場所をしっかり決めて構図を組み立てて撮ろう
この当時の自分にしてはよく撮ったほうなので、めちゃくちゃ後悔はしていないですが、やっぱり知識不足で損はしていたなというところがあるので、そういうことが少しでも減らせられればこの記事を書いた甲斐があります。
なんだかんでツアー旅行だったのでかなり時間が限られていましたが、ヴェネチアのホテルだけはわりと自由に動けたので、早朝散歩撮影をしたのですが、そればっかりはよくやった自分と褒めてやりたいです 笑
最後になりますが、僕は写真を始めた当初から同じ趣味を持つ友人がいたので、お互い写真のディスカッションや一緒に撮影などよく出かけていました。
もし一人だけでずっと続けていたとしたら、今まで続けていなかったかもしれません。自分で撮れる写真に限界が来た時の壁を突破できるのは外部からの刺激です。
自分だけでは思いつかなったアプローチや知らなかった場所に行くことで、また新たな境地へ行くことができました。
それは今も続いているのだと思います。